リスキリングの必要性が、広く認識されるようになりました。
とはいえ「具体的に何を学べばいいのか」「従業員にどのような資格を取得してもらえばいいのか」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、リスキリングで学ぶべきスキルや資格について紹介します。
リスキリングで新しい知識やスキルを身につけなければ、変化に適応できなくなってしまいます。
今必要とされているスキルを積極的に習得してください。
DX化にともなうリスキリングの重要性
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタルテクノロジーを活用して業務プロセスやビジネスモデルを変革し、効率を向上させる取り組みを指します。
DXの進展にともなって、企業や従業員が新しいデジタルスキルを習得し適応する必要に迫られています。
組織が持続的に競争力を維持し、変化に適応していくうえで欠かせないのがリスキリングです。
従業員のスキルアップが組織全体の成果や成長に直結するため、積極的なリスキリングの推進が求められます。
【40代・50代にもおすすめ】リスキリングで求められる主要スキルとは?
リスキリングで求められるスキルは、新しいキャリアのチャンスを広げるのに役立ちます。
40代、50代の方でも遅すぎるということはありません。
必要とされているスキルを、リスキリングによって効率的に習得しましょう。
プログラミングやデータ分析などのITスキル
ITスキルは需要が高く、年齢に関係なく身につけておきたいスキルです。
近年、デジタル技術が業務の中心的な役割を果たしています。
企業はDX化を進め、ITスキルを持つ人材への需要が高まっています。
ITスキルを身につけておくと、さまざまな職種や業界で仕事のチャンスが広がるでしょう。
デジタル技術がますます社会全体に影響を与える中で、ITスキルは個人や組織にとって必要不可欠なものとなっています。
マーケティングスキル
リスキリングでマーケティングを学ぶことは、大変有益です。
なぜなら、マーケティングは企業の成功に寄与する重要な要素であり、デジタル時代において特に需要が増しているスキルと言えるからです。
消費者はインターネットを通じて情報にアクセスし、商品やサービスを探しています。
消費者の求める製品やサービスを提供するためには、デジタルマーケティングの知識が必要です。
デジタルマーケティングを習得していれば、消費者にとってより価値のある製品やサービスを提供できるのです。
リスキリングでマーケティングを学ぶのは、個人や企業の競争力を維持するためにもおすすめです。
英語や他の言語の語学スキル
リスキリングで学ぶなら、語学もおすすめです。
語学スキルは、現代のグローバルなビジネス環境に適応するために求められています。
複数の言語を理解し話す能力があれば、国際的なビジネスシーンでのコミュニケーションが円滑に進みます。
また、異なる言語を学ぶことで、他国の文化や風習を理解しやすくなります。
これはビジネスでの対人関係構築においても大変重要な要素です。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、リスキリングで学ぶべきスキルの一つです。
良好なコミュニケーションは、職場の雰囲気を向上させます。
協力的な雰囲気は、モチベーションや生産性を高める効果があります。
リスキリングでコミュニケーションスキルを学ぶことは、個人や企業にとって大変有益です。
リスキリングで強化すべき領域
リスキリングで強化すべき領域は、企業の戦略や業界の技術進化によって異なります。
特にデジタル分野のスキルを強化しておくのが良いでしょう。
デジタル分野のスキルを強化すれば、変化するビジネス環境に対応し競争力を維持・向上させられます。
ITリテラシー
ITリテラシーとは情報技術に関する基本的な知識やスキルのことです。
リスキリングで学ぶべきITリテラシーは、現代のデジタル社会で機能し、デジタルツールを活用するための基本的な能力です。
具体的には、基本的なコンピュータースキル、インターネット、データセキュリティ、デジタルコミュニケーション、ファイル管理などのスキルが含まれます。
ITリテラシーは現代社会での基本的な生存能力ともいえる重要なスキルです。
リスキリングでITリテラシーを強化し、仕事や日常生活でデジタルツールを活発に利用しましょう。
情報セキュリティ
リスキリングで情報セキュリティ分野を強化すべき理由をお伝えします。
情報セキュリティは個人や企業が、サイバーセキュリティの脅威に対処するために需要が高まっているスキルです。
情報セキュリティで学ぶべきは、基本的なサイバーセキュリティ概念、ネットワークセキュリティ、データ暗号化、ウイルス対策、脆弱性管理などが含まれます。
専門的な学習が必要であるため、情報セキュリティを学べばサイバーセキュリティリスクに対処し、情報資産を守れるようになるでしょう。
情報セキュリティは急速に進化している分野です。
最新情報に対する理解と、リスキリングで継続的な学習でスキル強化を図ってください。
プログラミング
プログラミングは、デジタル社会で求められるスキルの一つです。
プログラミングスキルを身につけると、さまざまな分野での仕事のチャンスが広がります。
また、問題解決能力や論理的思考が、プログラミングを学ぶと向上するといったメリットもあります。
プログラミングスキルの強化とは、プログラミング言語の選定、基本的なプログラムの構造理解、Webページ構築、などが含まれます。
プログラはあらゆる業界での活用が可能であり、デジタル時代において非常に価値のあるスキルです。
リスキリングで取得したい資格
リスキリングの成果として、資格取得を目指すのがおすすめです。
資格はスキルの客観的な証明になりますし、キャリアの幅を広げる転職でも有利になります。
ITパスポート
ITパスポートは情報技術(IT)に関する基本的な知識を持つことを証明する経済産業省認定の国家試験です。
◆おすすめの方:IT業務に関連がある社会人、ITの基礎知識を身につけたい方
情報処理技術者試験は、難易度に合わせて12の試験が存在します。
なかでもITパスポートはレベル1で、難易度もそれほど高くありません。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は「情報処理技術者試験」の新たな試験区分として平成28年度春から創設されました。
◆おすすめの方:情報セキュリティ業務に携わる方、情報セキュリティ意識を向上させたい方
情報セキュリティマネジメント試験のITスキル基準は、レベル2です。
リスキリングで合格を狙える難易度の試験と言えます。
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
MOSとは、エクセルやワードなどのマイクロソフトオフィスを使うスキルを証明する資格です。
パソコンのスキルを客観的に証明する資格として人気があります。
◆おすすめの方 オフィスワーカー、事務作業のスキルを向上したい方、転職・就職で事務職に就きたい方
マイクロソフトオフィスのバージョンごとに資格を取得できます。
受験したい科目を自由に選択でき、個々に独立しているので最初からエキスパートレベルの受験も可能です。
ビジネス統計スペシャリスト
エクセルを使用したデータ分析技能と分析結果を理解し応用する能力を証明する資格です。
◆おすすめの方 データ分析の知識を身につけたい方、実践的なスキルを身につけたい方
試験にはエクセル分析ベーシック(基礎レベル)、エクセル分析スペシャリストの2つのレベルがあります。
VBA(Visual Basic for Applications)エキスパート
VBA(Visual Basic for Applications)とは、エクセルやアクセスのマクロの作成に用いるプログラミング言語です。
VBAエキスパートは、VBAのスキルを証明する資格となっています。
◆おすすめの方:エクセルを使う業務に就いている方、事務職、プログラマー、SEなどの方
試験科目はエクセル VBAとアクセス VBAの2種類、それぞれベーシックとスタンダードがあります。
TOEIC
TOEICは英語の能力を評価する試験です。
特徴的なのは、合否ではなくスコアが表示されるところです。
世界160カ国で実施されており、英語力を世界共通基準で判断できるテストとなっています。
◆おすすめの方:英語を使う業務に就いている方、英語力を証明したい方、英語学習のモチベーションにしたい方
TOEICには、大きく分けて2種類のテストが用意されています。
一般的なのがTOEIC Listening & Readin(L&R)で、聞く・読む力を測定するテストです。
マーケティング検定
マーケティング検定とは、公益社団法人日本マーケティング協会が主催する内閣府認定の試験です。
都合の良い場所と時間を選んで、全国のテストセンターで受験できるのが特徴です。
◆おすすめの方:転職・就職でマーケティング職を目指す方、マーケティング関連業務に就いている方
マーケティング検定には1級〜3級まであり、1級の受験資格は2級合格者のみとなっています。
3級、2級はどなたでも受験できるので、興味のある方はチャレンジしてはいかがでしょうか。
Pythonエンジニア認定試験
Pythonとは、AIやデータ分析で使われている人気のプログラミング言語です。
Pythonエンジニア認定試験は、Pythonの基礎知識を問う民間試験となっています。
◆おすすめの方:Pythonに興味がある方、AI分野に取り組みたい方
「Python3エンジニア認定基礎試験」「Python3エンジニア認定実践試験」などがあり、それぞれ証明できるスキルに違いがあります。
Pythonエンジニア認定試験の種類や特徴を理解し、受験しましょう。
以下の記事では、リスキング講座の選び方や注意点について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
リスキリングに関する支援策
リスキリングを奨励したくても「予算がないので難しい」とお悩みなら、助成金を活用してはいかがでしょうか。
リスキリングを支援している、助成金を3つ紹介します。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、従業員に対して職業訓練などを実施した場合に経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
助成金を活用できる事業主や支給対象訓練には、さまざまな要件があります。
助成金を活用したい経営者の方は、厚生労働省のページをご確認ください。
DXリスキリング助成金
リスキリング助成金は、中小企業が行うDXに関する従業員教育に対する助成金です。
公益財団法人東京しごと財団が実施しています。
そのため、都内に本社または事業所の登記がある企業が対象となります。
助成金を申請できる業種や訓練には、さまざまな要件があります。
DXリスキリング助成金を利用したい経営者の方は、東京しごと財団にご相談ください。
令和5年度DXリスキリング助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業) | 東京しごと財団 雇用環境整備課 (shigotozaidan.or.jp)
社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金
社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金は、中小企業が行う短時間の職業訓練に対し支給される助成金です。
先述のDXリスキリング助成金と同様に、公益財団法人東京しごと財団が実施しています。
つまり、都内に本社または事業所の登記があるのが、助成金申請の条件となります。
助成金申請に関しては、東京しごと財団にご相談ください。
社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金 | 東京しごと財団 雇用環境整備課 (shigotozaidan.or.jp)
以下の記事でもリスキング支援制度について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
リスキリングのメリット
リスキリングには、企業側と従業員双方にメリットがあります。
それぞれの視点から、リスキリングのメリットを解説します。
企業側のメリット
企業側が得るリスキリングのメリットは、競争力、生産性の向上があります。
リスキリングによって技術や業界の変化に迅速に対応すれば、企業は競争力を維持し成長できます。
従業員が最新の技術を習得すれば、業務プロセスが効率的になり、生産性の向上が図れます。
新しいスキルの導入によって、自動化や効率改善が期待できるでしょう。
従業員のメリット
リスキリングが従業員に与えるメリットは、キャリアの発展です。
新しいスキルや知識を身につければ、従業員はキャリアの幅を広げたり昇進の機会を得たりできます。
技術の進化は速いものですが、リスキリングを通じて従業員は進化に追いつけるのです。
従業員はリスキリングによって自身の成長を実感し、仕事へのモチベーションが向上するでしょう。
変化する労働市場において、柔軟性を持ったスキルセットは需要が大きいと言えます。
リスキリングを具体的に進める手段
リスキリングを進める手段として、3つの方法があります。
企業の目的や従業員のニーズによって、適した方法を選択してください。
外部講師を招いた社内研修
外部講師は特定の分野や技術において、専門的な知識を有しています。
社内研修を通じて外部の専門家から、最新の情報や優れた手法を効率的に学べます。
社内研修では、従業員同士のコミュニケーションを促進できるメリットもあります。
共通の学びや経験を通じて、チームとして一体感が生まれやすくなるのです。
オンライン講座などの受講
オンライン講座は時間や場所に制約がなく、従業員は自分のペースで学べます。
特に在宅ワーカーや忙しい従業員に適しています。
オンライン講座は多岐にわたるトピックを提供しており、従業員は個々の興味やニーズに合わせて学べるのがメリットです。
外部企業への出向
外部企業への出向は、実践的な経験を提供します。
従業員は他の企業の業務プロセスや文化を理解し、新たな視点を得られるでしょう。
外部企業へ就航すると、業界内でのネットワークが得られるのもメリットです。
業界全体のトレンドや動向を把握しやすくなります。
以下の記事では、リスキング導入事例や、リスキングを成功させるコツについて解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
リスキリングによる個人と社会の成長
変化の速い昨今、技術の進歩に取り残されないためにも新たな知識やスキルの習得が必要です。
リスキリングで何を学ぶべきか、悩んだら「今必要とされているスキルは何か」と考えてみてください。
リスキリングは、個人にも企業にも多くのメリットをもたらします。
求められているスキルを身につけ、時代の変化に適応しましょう。
コメント