工場を経営するためには日々大きなコストが発生します。
今よりも利益を増加するためには、コストを削減して無駄のない経営をすることが大切です。
今回は工場のコスト削減事例集とコストダウンを成功させる4つのステップを解説していきます。
利益を増やして経営をより安定させたいと考えている経営者は、最後まで読み進めてみてください。
工場経営で発生するコスト
工場経営では工場とオフィスそれぞれでコストが発生します。
まずは工場とオフィスで発生するコストについて解説していきます。
工場で発生するコスト
工場では製品を製造するために多くのコストを費やします。
具体的に発生するコストは、以下の通りです。
- 材料費
- 水道光熱費
- 設備維持費
- 人件費
上記のコストの中には生産性の向上と効率化によって削減できる項目があります。
例えば、エネルギー消費を削減して電気代や水道光熱費を削減したり、業務効率化によって人件費を抑制したりできます。
オフィスで発生するコスト
工場経営はオフィスでもコストが発生します。
オフィスで発生するコストは、以下の通りです。
- 水道光熱費
- 通信費
- 消耗品費
- 人件費
間接部門となるオフィスのコストを削減することで、利益の増加が見込めます。
業務効率化につながるツールを導入して人件費を抑制したり消耗品費をまとめ買いして節約したりと、オフィスでもコスト削減は可能です。
工場のコストで削減しやすい項目としにくい項目
工場経営ではコストを削減しやすい項目としにくい項目が存在します。
それぞれの項目を把握してコスト削減に取り組む際のヒントにしてみてください。
工場のコストで削減しやすい項目
工場のコストで削減しやすい項目は、以下の通りです。
- 水道光熱費
- 通信費
- 消耗品費
水道光熱費は、電気をこまめに消したり節水を心がけたりするだけでも効果が見込めます。
通信費はプラン変更をするだけで毎月自動的にコスト削減になるでしょう。
消耗品費も節約を心がけ、安いショップでまとめ買いするなど手軽にコスト削減ができます。
工場のコストで削減しにくい項目
一方で、以下のような削減が難しいコストも存在します。
- 材料費
- 設備維持費
- 人件費
特に人件費はコスト削減効果が大きい反面、従業員のモチベーション低下や離職を招く恐れがあるため慎重に行う必要があります。
人件費を抑制する際は、採用にコストをかけ過ぎてしまうと言う点に注意しなくてはなりません。
人件費を削減する方法の一つとして10人でやっていた仕事を9人でできるようにするなど、やり方を変えることで生産性を上げることが可能です。
実際に私は工場などの現場において従業員の人数を増やすことなく生産量を1.5倍にすると言う施策を実行した実績があります。やり方は必ず見つかります。
無駄な残業が必要ない状況を作ることができれば定着率も上がりますので工夫ができるポイントであることを知っていただきたいと思います。
また、材料費を削減するとなると製品の品質低下につながる可能性があります。
コスト削減は大切ですが、製品の品質に影響が出ないように材料選びは慎重に行ってください。
工場のコストダウン事例集【電気編】
工場での電気に関わるコストダウン事例を紹介していきます。
- 照明の配置を見直す
- LED照明に交換する
- 電気契約の見直し
- 太陽光発電の導入
上記を見直すことで、工場の電気代を削減可能です。
照明の配置を見直す
規模の大きい工場では照明の電力消費も大きくなります。
手元が暗くなってしまっては作業効率や品質低下を招く恐れがありますが、無駄な照明を間引くことで電気代削減効果があります。
また、自然光を最大限に利用できるレイアウトへの変更や目視が必要な現場に照明を集中させることで、電気の使用を削減可能です。
人感センサーを使った自動照明システムの導入も、使用されていないエリアの電力消費を減らす効果的な方法です。
LED照明に交換する
従来の白熱灯や蛍光灯と比べて、LED照明は消費電力が少なく長寿命です。
LED照明に交換する際は初期投資が必要ですが、長期的には電気代の削減につながります。
環境省がLED照明を推奨しているため近年は価格も安定してきました。
交換する際には手間と費用がかかりますが、寿命が伸びるので以降の交換頻度と交換費用は少なくなります。
電気契約の見直し
電力会社との契約内容の見直しも電気代の削減に効果的です。
2016年以降、日本では契約する電気会社を自由に選べるようになりました。
インターネット回線とのまとめ契約や安価な電力会社へ切り替えるなど、契約を見直すことで長期的に電気代削減効果を維持できます。
また、ピーク時の電力使用量を減らすことや、オフピーク時間帯に電力を多く使用するなどの方法で電気料金を抑えることも可能です。
太陽光発電の導入
太陽光発電を導入することで、工場やオフィス内の電気を自社でまかなえるようになります。
初期投資や施工は必要ですが、太陽光発電の導入は長期的なコスト削減と環境保護の両面で有効です。
工場の屋根は大きいため大型の太陽光パネルも設置可能です。
施工会社から見積りを取り具体的な初期費用とコスト削減効果を検討してみてください。
余剰電力は販売もできるため、工場経営の多角化にもつながります。
以下の記事でも、工場の省エネ対策について詳しく解説していますので、ぜひ合わせて参考にしてください。
工場のコストダウン事例集【水道編】
工場では、生産や従業員の休憩の際に水道を多く使用します。
- 節水弁の取り付け
- 井戸水や工業用水の利用
上記を活用して水道代のコスト削減を実施してみましょう。
節水弁の取り付け
節水弁は、蛇口部分に弁を取り付けて節水をする備品です。
節水弁の取り付けによって水の使用量を減らすことができ、水道料金の削減につながります。
特に大量の水を使用する製造現場では、節水弁の導入によるコスト削減効果は大きくなります。
常時水道を使用する現場では、手軽に導入できるので優先して取り入れてみてください。
井戸水や工業用水の利用
市水道に頼らず、井戸水や工業用水の利用を検討することも水道代のコスト削減方法の1つです。
井戸水や工業用水の利用は、水道料金の削減だけでなく水資源の安定供給にもつながります。
水道料金のコスト削減は大きくなりますが、水質管理の徹底や初期費用が必要となるため導入する際は念入りなシミュレーションが必要です。
工場にコスト削減につながる改善事例については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ合わせて参考にしてください。
工場のコストダウン事例集【オフィス編】
オフィスでは、以下のようなコスト削減事例があります。
- 備品の節約
- ペーパーレス化の促進
- 通信費の見直し
- オンライン会議の活用
それぞれのコスト削減事例の詳細を解説していきます。
備品の節約
オフィスにおける備品の使用は、工場経営で一定のコストを占めています。
具体的な備品としては、以下のようなものがあります。
- コピー用紙
- ペン
- プリンターのインク
- ティッシュペーパーやトイレットペーパー
上記のような備品のコスト削減には従業員の協力が必要です。
必要最低限の備品の使用や節約意識を従業員全員で共有し、物を大切に扱うようにしましょう。
また、備品を購入する際は長持ちする品質の良い製品の選定も重要です。
安く長持ちする製品はまとめ買いしておいて突発的な出費を減らすこともコスト削減につながります。
ペーパーレス化の促進
ペーパーレス化の促進は、紙やインク代の削減だけでなくデータの保管と管理の効率化にもつながります。
社内の連絡事項はメールやチャットなどを活用し、情報共有の迅速化と連絡内容の保管をしましょう。
製造現場では図面のコピーやさまざまな資料作成を行いますが、ペーパーレス化によって業務効率の改善も見込めます。
ペーパーレス化は工場のコスト削減だけでなく環境への配慮としても重要な取り組みです。
通信費の見直し
通信費は見過ごされがちですが、コスト削減効果の大きい取り組みです。
オフィス内のインターネット契約、携帯電話のプランなどの通信設備の見直しによって安定したコスト削減が可能です。
現代はインターネットやクラウドサービスの利用拡大に伴い、データ通信量が増加しています。
自社に最適な通信サービスプランを選択し、通信費の削減と安定した通信環境を構築しましょう。
オンライン会議の活用
オンライン会議の活用は、従業員の移動や出張にかかるコストを削減します。
コストの削減だけでなく、時間の節約や柔軟なスケジューリングによって幅広い参加者の獲得が可能です。
オンライン会議を活用すると、離れた場所の取引先との会議や柔軟なコミュニケーションが実現します。
デジタル化の進展に伴いオンライン会議は工場経営でも導入されつつあります。
貴重な人材を有効活用するためにも、オンライン会議を導入してみましょう。
工場のコストダウン事例集【工場の業務編】
工場経営では一番規模の大きい工場での業務にコストが集中します。
- 業務効率化の促進
- 外注化を進める
- ロボットやIoTを導入する
上記を取り入れることで、工場の業務を効率化してコスト削減を進めていきましょう。
業務効率化の促進
業務効率化は、人件費の削減と生産性向上の両方にとって重要です。
業務プロセスの見直しや自動化技術の導入、またはリーン生産方式の採用などが有効です。
リーン生産方式は有名なトヨタ生産方式を再構築して生み出されました。
ジャストインタイムを徹底して無駄な生産をやめ、以下の4つの取り組みで生産性向上を目指します。
- 無駄取り
- 改善
- 見える化
- なぜなぜ分析
業務を効率化することで、生産性の向上と従業員の働きやすさの改善にもつながります。
以下の記事では、工場の効率化について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
外注化を進める
特定の業務は外注化してコスト効率を改善できます。
外注化する際は単純作業や独立した工程を依頼するようにしましょう。
その理由は、製造技術や社内情報を委託先へ預けるリスクがあるためです。
外注化をすすめることで固定費となる人件費を抑制できます。
また、清掃なども積極的に外注化すると従業員のリソースを確保しやすくなります。
ロボットやIoTを導入する
基本動作が続く作業はロボットやIoT技術の導入で自動化できます。
生産を自動化できると品質の安定やヒューマンエラーの防止につながり、不良率の低下も期待できます。
ロボットは一度プログラムすると夜間でも連続で生産してくれますしIoTの導入で離れた場所でもリアルタイムのデータ分析が可能です。
ロボットやIoTの導入は生産性向上と人件費の削減効果があり、多くの工場で導入が増えています。
工場のIoT導入については、以下の記事で詳しく解説しています。
工場のコスト削減を成功させる4つのステップ
工場のコスト削減を成功させる4つのステップは以下の通りです。
- コストの全体像を把握する
- コスト削減のプランを作る
- 作成したプランを実行する
- コスト削減の成果を測定し改善を行う
それぞれのステップについて解説していきます。
コストの全体像を把握する
コスト削減を成功させるための第一歩は、現在のコストの全体像を正確に把握することです。
すべての経費項目を詳細に分析し、どの部分が最もコスト削減の余地があるかを特定します。
全てのコストを最初に把握することで、その後のコスト削減効果を最大限に伸ばせるようになります。
隠れたコストや見落とされがちな小さな経費も、このタイミングで確認しましょう。
コスト削減のプランを作る
コストの全体像を把握した後は、コスト削減を達成するための具体的なプランを作成します。
このプランでは以下の項目を設定します。
- 削減するコストの項目
- 目標額
- 実施方法
- 期間
コスト削減プランの作成時には実現可能で持続可能かどうかを考慮し、業務の質や従業員のモチベーションに悪影響を与えないように注意が必要です。
作成したプランを実行する
計画を立てた後は、実際にそのコスト削減プランを実行に移します。
プランの実行段階では計画通りにコスト削減が進んでいるかを定期的に確認し、必要に応じて調整を行うことが重要です。
また、従業員全員がコスト削減の目標に向けて協力しやすい環境を構築しましょう。
そのためには、従業員の参加を促すためのインセンティブの提供が効果的です。
コスト削減の成果を測定し改善を行う
コスト削減の取り組みが完了したら、その成果を測定してさらなる改善のための分析を行います。
削減したコストの量だけでなく、生産性の向上や従業員の満足度も評価することが大切です。
持続的な改善には成功したコスト削減方法を記録し、今後の取り組みに活かすことが重要です。
コスト削減で工場が注意する点
コスト削減を実施する際は、以下の点に注意しましょう。
- 品質と生産性の低下
- 長期目標がない
コスト削減を続けるために、それぞれの注意点について解説していきます。
品質と生産性の低下
コスト削減を行う際に注意すべきなのが、品質と生産性の低下です。
コストを削減を重視するあまり必要な工数や作業を過度に省略してしまうと、製品の品質低下や生産性の低下を招く可能性があります。
製品の品質と業務効率は企業の競争力の基盤になるため、コスト削減の過程で品質と生産性を犠牲にしないよう注意が必要です。
長期目標がない
コスト削減でもう1つの重要な注意点は、長期的な視点を持つことです。
短期的なコスト削減に焦点を当てすぎると、長期的な企業成長や持続可能性に悪影響を与える可能性があるためです。
長期的な目標と戦略を設定し、それに基づいてコスト削減計画を立てましょう。
まとめ:工場のコスト削減には従業員の意識改革も大切
工場経営では工場とオフィスでそれぞれコストが発生します。
レイアウト変更や外注化による業務効率の向上などのコスト削減方法を活用して、利益の増加を目指しましょう。
工場のコスト削減では、備品の節約や節水など従業員の意識改革も大切です。
従業員のモチベーションを低下することなくコスト削減を続けていくために、コスト削減の重要性と必要性を共有していきましょう。
従業員一人ひとりの意識が変わることで、工場全体のコストは大きく削減可能です。
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