建設業のDXで解決する課題は?導入の流れや成功のポイント

建設業のDXで解決する課題は?導入の流れや成功のポイント

昨今、さまざまなシーンで注目されているDXは、建設業でも導入が推進されています。

しかし、実際には、建設業でのDX化は進められていないのが現状です。

そこで、改めて「なぜ建設業にDX化が必要なのか?」「どのように建設業にDX化を導入していくのか?」について解説していきます。

建設業は他の業種と比べると属人的な部分の多い業種ですが、DXを取り入れることで、今後の建設業界自体の未来も変化するでしょう。

建設業のDXで解決する課題は?導入の流れや成功のポイント
目次

建設業界のDX化とは?

建設業界のDX化は、デジタル技術を活用して人手不足や技術継承など、組織全体の生産性の課題を解決するものです。

昨今では「建設DX」と呼ばれ、少しずつですがDX化を導入する建設業も増えています。

しかし、建設業界はアナログな文化も残っており、昔ながらの業務の進め方から抜け出せていない企業もあります。

建設業のDXが進まない理由

建設業のDX化は、スムーズに浸透しているとは言えません。

デジタル化が主流になっている今でも、日報をFAXで送ったり、書類の管理をデータ上ではなく手作業で行ったりしているケースがみられます。

これらのようなDX化が進まない理由には、主に以下4つが関係しています。

  • 属人化の文化が強い
  • ITリテラシーの低さ
  • 資金
  • IT人材の不足

それぞれの理由について、具体的に見ていきましょう。

属人化の文化が強い

建設業は、昔ながらの仕事であり、一つひとつの作業が属人化している部分が多いです。

職人気質の人が多く働く業界であるため、今でも「手元を見て技術を学ぶ」という文化が残っている会社もあります。

このように「人が手を動かす仕事」「人と人とで行う仕事」という文化が残っていることが、DX化導入の遅れの一つです。

ITリテラシーの低さ

建設業界は、今でもアナログな文化が残っています。

連絡手段から施工の管理、人材の管理など、DXを導入できる部分は多いですが、使いこなせる人材が少ないのです。

そのため「新しくDX化を導入して手間がかかる位であれば、これまで通りの方法で進めた方が早い」と思われてしまっています。

資金

DXを導入するにあたり、資金面の問題もあります。

DXを導入するとなれば、さまざまなシステムや機材を導入しなければいけません。

比較的、安価な価格で導入できるものもありますが、いずれにせよDX化には費用がかかります。

とくに多重下請け構造の下請けの部分で現場作業を担う中小企業は、資金調達をするのが難しいです。

IT人材の育成・雇用

建設業界で本格的にDXを導入するとなれば、DX技術を使いこなせる人材を育成、または雇用しなければいけません。

しかし、現場作業にあたる人材ですら不足している建設業で、新たにDXに精通している人材を育成したり雇用したりするのは困難です。

育成をするにも雇用するにもコストがかかってしまうために、デメリットだと感じられてしまっています。

建設業界のDX推進で解決できる課題

建設業界でDXを推進するには、多くの課題も残っています。

しかし、DX化を上手く導入していけば、必ず業務はスムーズになります。

とくにデジタル技術が発展している今の時代で、DX化は必要不可欠と言えるでしょう。

そこで、具体的に建設業界にDXを導入することでどのようなメリットが得られるのかを、以下で解説します。

人材不足問題の解決

建設業界は、常に人材不足の問題があります。

2021年3月に国土交通省により発表された「最近の建設業を巡る状況について【報告】」によると、1997年代のピーク時に685万人いた就業人口は、2020年の時点では492万人まで落ち込んでいます。

また、少子高齢化によって、若い世代の職人がいないことも問題です。

しかし、DXを導入して属人化している部分を機械に任せられれば、人材が不足していても業務が円滑になり、働く人、一人ひとりの負担を減らせます。

働き方改革の促進

建設業界は、人手不足による一人ひとりの負担の大きさから、全産業のと比べて労働時間や労働日数が多くなってしまう傾向があります。

しかし、働き方改革によって、労働時間や日数を見直さなければいけなくなりました。

これまでの属人的な方法では単に作業に遅れが出てしまうため、働き方改革の一環としてのDX化導入も進められています。

生産性の向上

属人化の強い建設業界では、その昔ながらの文化が残っているために、生産性が低下している傾向が見られます。

人材不足による長時間労働による作業効率の低下や、手作業による書類の作成などが要因の一つです。

これらの課題解決の方法が、DXの導入です。

一つひとつの手作業を減らして一人あたりの負担を軽減できれば、生産性向上につながります。

技術の継承

建設業にDXを導入すれば、技術の継承をスムーズに行えます。

建設業は、専門的な熟練の技術が必要になる業界であるため、これまでは時間をかけて職人を育ててきました。

しかし、新人に対してつきっきりで技術を伝えていくには、多くの時間がかかり、効率的ではありません。

DXを導入すれば、技術や知識をデータとしてデジタルツールを使って伝えていくことができます。

これにより「若い世代が育たない」問題も解消されるでしょう。

危険作業のリスクを低減

AIや通信技術を使えば、危険な作業を機械化して、怪我や事故のリスクを低減できます。

たとえば、ドローンを使って危険な場所の確認を実施すれば、何か起きても人が巻き込まれることはありません。

人による二重チェックが必要なケースもありますが「機械ができることは機械に任せる」ようになれば、これまでよりも事故や怪我は少なくなるでしょう。

建設DXで用いられるデジタル化の技術一覧

建設業DXといっても、具体的にどのような技術を導入すれば良いのかわからない企業も多いでしょう。

そこで、実際に建設DXに用いられるデジタル化の技術として、活用されているシステムやサービスをいくつか紹介します。

社内の環境や利用用途によっては導入できない技術もありますが、以下で紹介する技術のなかから、必ず一つは導入できるものがあるはずです。

AI

AIは、人工知能が人間の思考や知識の一部を再現する技術です。

建設DXにおいては、建設現場の画像や映像をAIで分析して進捗状況を可視化したり、建築物の構造設計の安全性を判定したり、職人の技術をデータ化したりできます。

事故の防止のほか、技術継承にも役立つデジタル技術です。

クラウド

クラウドは、インターネットのネットワーク経由で各種サービスを提供する技術です。

クラウドサービスを活用すれば、バックオフィス業務の円滑さや、資料の共有・確認なども遠隔地からシームレスに行えます。

ドローン

ドローンは、どのような建設業でも導入しやすいデジタル技術です。

たとえば、ドローンを使った測量や現場の危険度チェックとして使われます。

これらを人手で行うと日数がかかりますが、ドローンであれば数分で取得できます。

ICT

ICTとは、情報通信技術を指す言葉です。

建設DXでは、ICT建機とも呼ばれ、情報通信技術を取り入れた重機を指します。

ICT建機は、重機のコントロールや操作のガイダンスを、データを元に自動で行えます。

これにより、従来オペレーターが必要だった作業の属人化を解消し、全体的な効率化につなげられます。

BIM/CIM

BIM/CIM(ビム/シム)とは「Building Information Modeling」と「Construction Information Modeling」の略称です。

わかりやすく言えば、立体的な図面で構造物を示すデジタル技術を指します。

2020年4月には、国土交通省より「2023年までに小規模を除く全ての公共事業にBIM/CIMを原則適応」との発表があったため、現在ではどのような建設業もBIM/CIMを活用しています。

AR・VR・MR

AR・VR・MRの技術も、建設業界には大きく関わってきます。

それぞれの特徴や活用の方法を、以下にまとめました。

特徴建設DXへの活用例
AR(拡張現実)現実世界の風景などに情報を重ねる建設現場に建造物の完成イメージ映像を重ねる
VR(仮想現実)仮想空間を現実のように体感できる施工する前にVRで設計を立体再現する
MR(複合現実)現実世界と仮想現実を組み合わせる技術MR自体が成長途中であるため事例なし

上記の技術を用いれば、建設業の一つひとつの業務は、一気に高まります。

ディープラーニング

ディープラーニングは、人の行動をコンピューターに学習させる技術です。

AIととても近い言葉ですが、AIを活用するためのディープラーニング(機械学習)と考えてください。

たとえば、例えばAIを測量や道路点検で使うとした場合、正しい判定をさせるためには何千枚以上もの画像データを覚えさせなければいけません。

これらのデータをまとめて「どの条件に該当した場合はAになる」といったように判断させるのです。

建設DXの具体的な例

建設DXの具体的な例をいくつか紹介します。

上記で紹介したように、建設DXに用いられるデジタル技術はいくつもあります。

しかし、実際にそれぞれをどのように使えば良いのか、活用方法がわからない企業もいるでしょう。

以下では4つの例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

建設機械の遠隔操作

ショベルカーやブルドーザーなどを遠隔で操作・制御する技術です。

実際に人が乗って操作しなくて良いので、災害現場や事故現場などの危険な場所でのケガや事故のリスクを防げます。

作業現場への移動時間もなくなるので、業務効率化にもなるでしょう。

この技術には、5Gや3D技術が使われています。

AIにによる技術のマニュアル化

AIに高い技術を学習させることで、技術をマニュアル化させる技術です。

これまでは人から人へ直接伝えるような属人的な部分がありましたが、AIの分析で属人化を排除したマニュアルを作成できます。

さらに、解析した技術をロボットが引き継げば、人手不足による業務への支障も改善できます。

3Dプリンタによる生産性向上

3Dプリンタは、3Dデータを基に立体モデルを製作する技術です。

データさえあれば自動的に立体的なモデルを製作してくれるので、これまで建設現場で行われてきた以下の業務負担が大きく軽減できます。

  • 切る
  • 削る
  • 組み合わせる
  • 溶接する

AIを活用した3Dプリンタ建築の例も増えています。

ドローンによる測量・点検

ドローンは、測量や点検に多く用いられています。

小型の無人機であるため、高層ビルや人が近づきにくいような危険な場所でも、測量や点検を行えます。

近年では、ドローンにAIや高精度センサーを組み合わせた使い方も増えています。

建設業にDXを導入する流れ

建設業にDXを導入する際は、正しいステップを踏んで進めていきましょう。

システムや機材をただ導入するだけでは、せっかくDXを導入しても、従業員にまで浸透していきません。

適切な流れとしては、以下のように進めていくと良いでしょう。

  1. 現場への理解と共有
  2. デジタル人材の確保
  3. 小規模のデジタル化
  4. データ収集
  5. データ収集と改善

それぞれで行うべきことについて、解説します。

1.現場への理解と共有

建設業界でDXを導入するには、まず課題を明確にしなければいけません。

現場の声を集めて、何をどのように改善するのかを事前に決めましょう。

あくまでDXの導入は、現場の負担を軽減することが目的です。

そのため、現場の声を聞かずに導入だけを進めても、理解も浸透もせず、宝の持ち腐れになってしまいます。

2.デジタル人材の確保

課題が明確になったら、その課題を解決するためのツールと、ツールを扱える人材を確保しましょう。

デジタル技術を適切に扱える人がいなければ、どんなDXを導入しても活用できません。

採用が難しい場合は、研修などを用いて今いる従業員を育成しましょう。

3.小規模のデジタル化

ツールと人材を確保できても、大きなデジタル化は進めないようにしましょう。

いきなり大きなデジタル技術を導入すると、従業員がついていけなくなってしまいますし、失敗したときのリスクが大きくなります。

そのため、まずは「給与計算の自動化」や「書類のデジタル化」から進めていくと良いでしょう。

4.DX実現に必要なデータを集める

小さなデジタル化でDX技術が進んだら、現場への導入を検討しましょう。

しかし、現場へデジタル技術を導入するには、膨大なデータが必要です。

そのために、社内にある資料や現場の写真など、機械学習にデータを集めましょう。

5.データ収集と改善

建設現場のDX導入が実現しても、データの収集と改善を続けましょう。

改善を繰り返していけば、システムの精度があがり、より効率的に使えるようになります。

成功と失敗を繰り返しながら、DXによる業務改善を進めていきましょう。

建設DXを導入する際の注意点

建設DXを導入する際は、以下3つの点に注意してください。

  • 現場の声を聞く
  • 課題を明確にする
  • 自社に合った方法を選択する

上記3つを守りながら進めなければ、建設業へのDX導入は失敗してしまう可能性が高くなります。

現場の声を聞く

建設DXにおいては、必ず現場の声を聞くようにしましょう。

現場の意見を反映させなければ、DXの導入に反感の声があがる可能性もあります。

また、理解を得られなければ、どれだけシステムや技術を導入しても、現場で広がっていきません。

課題を明確にする

建設DXは、現状の課題を解決するための一つの方法です。

課題が明確になっていないうちにDXを導入しても、使いどころがわからず、成果は出ません。

そのために、まずは先述したように現場の声を聞きながら課題を明確にしてください。

自社に合った方法を選択する

建設業のDXに活用できるデジタル技術はさまざまなので、自社に合った方法を選んでください。

「周りがやっている」「導入数が多い」という理由だけで導入しても、使い勝手が悪かったり自社に合わずに浸透しなかったりします。

場合によっては小規模のDX化だけで十分業務改善できるケースもあるので、先述した「現場の声」「課題を明確にする」を行ったのち、自社に合った技術の導入を検討してください。

建設業でDXを導入した事例

建設業でDXを導入した事例を、いくつかまとめて紹介します。

実際の導入事例から「どのようにデジタル技術を活用すべきか」の参考になるでしょう。

以下に、企業と実施内容をまとめました。

企業導入したデジタル技術主な改善点
大成建設遠隔巡視システム「T-iRemote Inspection」の開発ロボットに、カメラや双方向コミュニケーション機能を備えることで、時間や場所にとらわれない巡視業務が可能
清水建設株式会社ワークフローシステム決裁・申請業務の電子化
東急建設株式会社ワークフローシステム「AgileWorks」の導入紙の申請書を電子化

大成建設のように実務をDX化した例もあれば、清水建設や東急建設のようにペーパーレス化を実現している企業もあります。

上記の例のように「建設業界にはこのDX化をすべき」というルールはないので、自社に合ったDX導入を検討してください。

建設業界のDX導入には社内環境への取り組みから

建設業界において、DXの導入は、今後必須になります。

しかし、いきなりDXを導入しても、多くの従業員はついてこれません。

また、突然指示されたことに対して、反発が生まれる可能性もあります。

そのために、DX導入の前に社内環境の見直しを行いましょう。

社内環境を改善して、従業員が満足し、やる気を持つ動きになれば、DXを導入してもスムーズに浸透していきます。

DX導入も大事ですが、その前にすべきことをしっかり行っておきましょう。

DX・デジタル化に関するご相談はこちらまで
DXは進めたいが何から始めていいかわからない・デジタル化は難しいと諦めていませんか?現場に課題感をお持ちの方に向け、組織の改題に応じた改善提案をいたします。お気軽にご相談ください。

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