建設業の生産性を向上させるには?生産性が低い原因と向上させる方法

建設業の生産性を向上させるには?生産性が低い原因と向上させる方法

労働生産性が低いと言われる建設業界では、国交省や業界団体などが生産性を向上させるためにさまざまな取り組みをしています。

「建設業界全体で生産性が低いのだから、うちも低くて当たり前」のように考え、特に対策を取らないまま一人ひとりの負担が増えてしまっている企業も少なくありません。

生産性の低下は個人への業務負担が増し、離職者が増えてしまう恐れもあるのです。

そこで本記事では、建設業において生産性が低いと言われる原因や、向上させるための方法や事例についても紹介していきます。

ぜひ、最後まで読んで自社の業務体制の改善に役立ててください。

建設業の生産性を向上させるには?生産性が低い原因と向上させる方法
目次

建設業の生産性が低い原因

建設業において生産性が低いと言われる原因としては、大きく分けて主に以下の3つが挙げられます。

  • 現状に合った働き方ができていない
  • 人手不足
  • 事務作業の多い

生産性の低い建設企業には、上記のような共通点があります。

それぞれの原因について解説しましょう。

現状に合った働き方ができていない

生産性が低い建設企業において共通しているのが、現状に合った働き方ではないという点です。

たとえば、会社全体で終身雇用や年功序列の考え方が根付いていたり、ITが発達した現代においてもいまだに紙の契約書や稟議書などを使用していたりといったことが挙げられます。

インターネットなどのITが普及し、便利なツールがある中で、従来の働き方が現代において最適なケースは少ないでしょう。

人手不足

国土交通省の調査によると、建設業就業者は、55歳以上が約34%、29歳以下が約11%と高齢化が進行しているとのデータが出ています。

次世代への技術承継が大きな課題とされています。

技能労働者等の推移は以下の通りです。

平成9年平成22年平成27年
建設業就業者685万人498万人500万人
技術者41万人31万人32万人
技能労働者455万人331万人331万人
国土交通省:1.建設業を取り巻く現状

人手不足は、一人ひとりの労働量が増え、負担が大きくなります。

長時間労働は個々のパフォーマンスの低下につながり、生産性を下げてしまいます。

人手不足からは長時間労働と離職者を生み、さらに人手不足が深刻になっていく悪循環が生まれるのです。

この悪循環を断ち切るためにも、建設業界では対策が急務とされています。

しかし、人手不足はただ人を雇えばいいということではありません。

全くの新人を雇用すれば、教育コストがかかるため、人手不足の現場にさらなる負担をかけてしまう恐れがあります。

建設業界での生産性を向上させるには、採用とは別の方法でアプローチして改善するのがいいでしょう。

建設業界の人手不足の現状や対策については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

事務作業の多さ

建設業の生産性を低くしている原因のひとつに、事務作業の多さも挙げられます。

建設業の仕事には、受注から施工、竣工に至るまで、工程によってさまざまな書類を扱うため、これらをこなすだけでも多くの工数が取られています。

お客様だけでなく、社外の関わりを含めると、書類を確認するだけでも手間がかかります。

事務作業においては、個々のスキルを改善するだけでは改善できない部分であるため、根本的な部分で業務の見直しが必要です。

建設業が生産性を向上させるべき理由

建設業は、地域のインフラ整備やメンテナンスなどの重要な役割をもち、同時に、地域経済や雇用を支え、災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う、地域と国民の守り手として無くてはならない業界です。

建設業における従業員の高齢化や人手不足などといった背景から、労働時間の短縮を推進するために、2024年から時間外労働の上限規制が適応されるようになりました。

いかに個々の労働時間や負担を縮小でき、それにより生産性の向上を図る取り組みが求められているのです。

建設業の生産性が向上する方法

建設業だけにいえることではないですが、生産性を向上させるためには、以下のような方法をとるのがいいでしょう。

  • 働き方改革による推進
  • 個々のスキルの底上げ
  • ITツールの導入

現場目線の理由を踏まえながら、建設業における生産性向上のための3つの方法を解説します。

働き方改革による推進

まず、改善するべきは現状の働き方です。

働き方改革には「業務効率化」と「待遇改善」が必要です。

そのためには、残業時間の削減はもちろん、人事評価制度の見直しなどが挙げられます。

残業時間を削減するには、まず原因を可視化し、具体的にどの作業にどのくらいの工数がかかっているのか見直すことが大切です。

また、人事評価制度の見直しは、良い待遇があることで従業員の士気があがり、生産性や業績がよくなるといった効果が見込めます。

個々のスキルの底上げ

今いる従業員や職人のスキルを底上げするのも、生産性を向上をさせるのに効果的です。

現状の水準よりも高い水準を平準化し、個々のスキルを底上げします。

とはいえ、すぐにできるような対策ではありません。

現場では身につかないスキルもなかにはあるでしょう。

だからこそ、日頃から技術やスキルの継承や、その人にしかできないような仕事をなくしていく環境が必要です。

技術力の水準を底上げするには、長期的な視点で取り組む必要があります。

まずは特定の人にしかできない仕事をなくし、誰がやっても対応できるようなレベルにしていくような体制を整えましょう。

ITツールの導入

近年は、インターネットが発達し、スマートフォンやタブレットなどといった端末機器が普及しています。

わざわざ特別なツールを導入しなくても、身近なものを利用するだけで生産性を向上させることも可能です。

あまり専門的で難しいツールを導入してしまうと、社内で敬遠されたり、教育コストがかかったりといったことがあります。

自社の課題や目的に応じて必要な機能のみを利用し、それぞれが簡単に使いこなせるようなツールを導入しましょう。

♦ITツールで建設業の生産性が向上した事例

東急建設株式会社では、クラウドに必要な情報を一元化し、複数人で同時に共同編集・更新できるよう、ビジネスチャットツールを活用した情報共有迅速化するといった取組みを行いました。

東京メトロ銀座線渋谷駅のホーム移設工事において、6日間列車を運休させ昼夜通しで、複数工区に多くの工種が同時施工されることから、約160人の施工管理関係者が携わりました。

そのため、各工区の現場担当者および本部との正確な情報共有が重要な課題としていたようです。

そこで、情報共有の迅速化にあたり、Microsoft社のビジネスチャットツール「Teams」を活用し、参加メンバーの大人数に対してチャットによる同時連絡を可能にしました。

また、施工に必要なデータをクラウドで一元管理することもでき、参加メンバーは、ノートPCやタブレット、スマートフォンなどのさまざまなデバイスから、チャットや必要なデータを素早く確認することができたのです。

こういった情報の共有においても、建設業における生産性の向上には重要な要素になります。

社内環境改善で建設業の生産性を向上させよう

建設業において生産性を向上させるには、まず従来の働き方を見直すことから始めましょう。

人員不足には、個々の負担を軽減するためのツール導入や待遇面の見直しやが急務です。

社内環境を改善すれば、社員のモチベーションを高められ、生産性の向上も見込めるでしょう。

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