困ったときはここを見よ!先進工場の生産性向上事例|改善のヒントに

「生産性を上げるためにさまざまな施策をしたが、結果が出ない」

「一体どうすれば?」

このようにお困りの経営者の方は少なくありません。

生産性向上を目指してデータを収集したり、最新の機器を導入したりしてもなぜ結果が出ないのでしょうか。

もしかすると、データが十分活用できていない、最新の機器が業務に合っていない可能性があります。

今回は問題解決のヒントになるような生産性向上のポイントやアプローチをお伝えします。

生産性向上に成功した事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

困ったときはここを見よ!先進工場の生産性向上事例|改善のヒントに
目次

工場生産性向上が求められる背景

工場生産性向上が求められる背景

ものづくりの現場である工場では、より短時間に多くの製品を生み出す生産性が求められます。

生産性を重視する考え方には単に利益増大だけではなく、日本の製造業が抱える課題が含まれています。

工場で生産性向上が求められる背景を見ていきましょう。

労働力不足の時代

かつて工場では生産ラインの多くが、労働力に依存していました。

労働力不足が深刻化している現代、生産を労働力に頼るだけでは追いつかなくなっているのです

厚生労働省が公表した『令和元年版 労働経済の分析』にあるデータをご覧ください。

出典:『令和元年版 労働経済の分析』企業規模別等でみた雇用人員判断D.I.の推移 第2-(1)-1図
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-1.pdf

各産業で2013年に過剰から不足に転じてから、年々人手不足感が高まっているのが見てとれます。

どの産業においても労働力不足は深刻です。

そこで同じ作業を少ない人員で効率的にこなせる、生産性向上が求められているのです。

労働力不足の時代では、伝統的な労働モデルを脱却して、新しい技術の導入やプロセスの最適化が必要です。

技術や効率化によって工場は競争力を維持・強化できるようになるのです。

日本の生産性の低さとその原因

日本の生産性の低さには、いくつか原因があります。

まずは、伝統的な労働スタイルの残存です。

長時間労働や過剰な労働文化が根付いており、生産性向上の妨げとなっています。

過労から従業員のワークライフバランスが損なわれ、結果として生産効率の低下を招いています。

また、伝統的な生産プロセスが非効率的であり、現代の手法に合わない場合があります。

これにより無駄な時間とリソースが発生し生産性の低さの原因となっています。

技術導入の遅れも深刻です。

一部の大企業では新しい技術やデジタルツールの導入が進んでいますが、日本の製造業全体を見ると技術導入の遅れは否めません。

新しい技術の導入が遅れれば、生産性向上の機会損失と競争力低下を招くでしょう。

さらに、新しいアイディアや柔軟性を重視するような企業文化の浸透が遅れています。

古い体質がイノベーションの妨げとなり、国際的な競争において他国より劣勢に立たされていると言えます。

お伝えした要因が複合的に影響し、日本の生産性が低い原因となっています。

生産性向上には、働き方改革や技術導入、組織文化の変革などが総合的に必要とされているのです

生産性向上のポイントと具体的なアプローチ

生産性向上は、今や早急に取り組むべき課題です。

とはいえ「具体的に何をすればいいのか?」とお悩みの経営者の方も多いでしょう。

そこで、ここからは生産性向上のポイントや具体的なアプローチをお伝えします。

業務プロセスの改善

業務プロセスの改善は生産性向上に大きく寄与します。

業務プロセスを改善するにはさまざまなアプローチがあります、一部を紹介しましょう。

◆リーン製造手法

リーン製造手法は無駄を削減し、効率を高める手法です。

無駄な作業や在庫の削減、生産ラインのフロー改善などリーンの原則に基づいた改善を行います。

価値を生む活動に焦点を当て、非価値の活動を削減すれば生産性が向上します。

◆TPM(Total Productive Maintenance)

生産システム上のロスをゼロにすることを目指し、生産性向上と収益確保を実現する活動です。

TPMは、工場全体で協力して生産保全を行う考え方であり、高品質な製品を効率的に生産することを目的としています。

◆プロセスの標準化と訓練

生産プロセスを標準化し、従業員に訓練を提供することで、作業の一貫性が向上します。

標準化によって品質のばらつきが減少し、安定した生産が可能になります。

お伝えしたアプローチは、工場の業務プロセス改善に役立つものです。

業務プロセスをどのように改善したいかの観点から、課題の洗い出しや目標の設定が必要です。

データ分析による可視化

データ分析による可視化によって、生産性向上が図れます。

具体的なアプローチをいくつか紹介します。

◆製造プロセスのデータ分析

製造プロセスから得られるさまざまなデータを分析し、ボトルネックや効率の低い工程を特定します。

データマイニングや統計的手法を用いて、異常なパターンや不良品の原因を発見するのに役立ちます。

◆リアルタイムダッシュボード

センサーデータ、生産ラインの稼働状況、在庫状況などをリアルタイムでモニタリングできるダッシュボードを構築。

直感的で理解しやすい可視化要素(グラフ、チャート、指標)を使用するのがおすすめです。

◆労働データ

従業員の生産データや労働時間データを分析し、最も効果的な作業スケジュールやトレーニングニーズを特定します。

従業員のスキルや経験に基づいた最適な配置やタスク割り当てを可能にします。

お伝えしたアプローチはデータ分析と可視化を組み合わせて、生産プロセス全体を効果的に管理し、問題の早期発見や意思決定のサポートを可能にします。

データ駆動のアプローチを導入すれば、生産性向上に寄与するでしょう。

デジタルツール・システムの導入

デジタルツールやシステムの導入は、適切に行えば生産性を向上させます。

具体的なアプローチは、業種や企業のニーズによって異なります。

以下に一般的なアプローチをいくつか挙げてみました。

◆ニーズの評価

現在の業務プロセスや課題を詳細に評価し、デジタルツールの導入によって解決できる問題や目標を明確にしてください。

目標は具体的、計測可能、達成可能、時間設定をしてSMART原則に基づいて設定します。

◆技術の導入

問題解決や必要性に合ったデジタルツールやシステムを選定します。

システムの拡張性や適応性、セキュリティ機能なのも十分考慮してください。

◆段階的な導入

大規模なデジタル変革を一度に行うのではなく、段階的な導入がおすすめです。

小さな成功体験を積み重ねながら、導入範囲を広げていくのが最も効率的です。

◆継続的なモニタリングと改善

デジタルツールやシステムの導入後は、継続的なモニタリングと改善を行います。

定期的な評価やフィードバックをもとに、システムを最適化していきましょう。

お伝えしたアプローチは、デジタルツールやシステムの導入を効果的かつ持続可能にするための一般的な手順です。

状況によって、このアプローチをカスタマイズして適用するのがポイントです。

具体的な生産性向上事例

具体的な生産性向上事例

この章では、具体的に生産性向上に成功した2つの事例を紹介します。

どちらの事例も、多くの工場と同様に「人手不足」の問題を抱えていました。

先進技術を導入し、どのように生産性向上に成功したのかヒントになれば幸いです。

食品製造業の事例

総菜製造業の生産性向上事例を紹介します。

◆問題点

  • 人員の限界
  • 不良品を見逃すリスク
  • 原料の検査を目視で行なっていた

◆改善の取り組み

  • 異常品の検出・排出を自動化
  • AIを用いた画像検査装置の導入

◆生産性向上結果

  • 検査バラつきの改善
  • 生産性向上率 145%(平均値より算出)

検査装置を導入し、品質維持を目指した事例です。

従業員の熟練度に依存しない検査ができるようになり、時間当たりの処理量も安定しました。

柔軟な人員配置が可能になり、余裕が生まれたそうです。

結果として、生産性向上にも成功した例と言えるでしょう。

自動車部品製造業の事例

自動車部品を製造する会社の生産性向上事例を紹介します。

◆問題点

  • 人材不足
  • 企業体が古い体質
  • 製造ラインの生産性向上が急務
  • 新たなことに挑戦する社風ではない

◆改善策の取り組み

  • 知識/事例をリスト化し従業員全員に共有
  • IoTモニタリングシステムを導入しデータ収集
  • 特別チームとして「ものづくり改革室」を創設
  • 改善が必要なラインに「カイゼンボード」を設置
  • スタッフが定刻に「カイゼンボード」をもとにPDCAを回す

◆生産性向上結果

  • 100の製造ラインで生産性が43%向上
  • 取り組みから3年で労務費を10%以上削減
  • 最も改善効果が高かったラインでは、生産性向上280%を実現
  • 製造ラインの6割をIoT化、スマートフォン操作で稼働状況や問題点抽出が可能

生産性向上に取り組む前は、知識や情報が属人化されており、改善事例が紙でファイリングされているなどの問題点がありました。

改善を行っても従業員全体に共有されていなかったのです。

「カイゼンボード」の活用やラインストップミーティングの実施のみならず、知識/事例の共有によって、過去事例のノウハウも横展開が可能になり、改善推進の一翼を担いました。

この事例では、データ収集と活用、情報共有の重要性を示していると言えるでしょう。

どのような改善を行ったのか、従業員全体に共有する「見える化」によって生産性向上が成功した事例です。

今後の工場生産性向上への取り組み

今後の工場生産性向上への取り組み

これから生産性向上に取り組むなら、ぜひ採用していただきたい考え方を2つお伝えします。

自社で抱えている課題解決のために、積極的に取り入れてください。

デジタルスレッドとデジタルツインの活用

製造業におけるデジタルスレッドとは、製品に関する情報を追跡可能な状態で一貫性をもって管理しようとする概念です。

デジタルツインは物理的な製品やプロセスをデジタルでモデル化する概念です。

デジタルツインによって実際の製品やプロセス挙動を仮想的にシミュレートし、改善を行えます。

デジタルスレッドとデジタルツインの活用が生産性向上に寄与する理由は、デジタル技術を活用して生産プロセスをリアルタイムかつ効果的に管理できるからです。

情報のリアルタイムな可視化やデータの有効活用によって生産効率を向上させられます。

今後の生産性向上のために、デジタルスレッドとデジタルツインが注目されています。

故障モード影響解析(FMEA)の活用

故障モード影響解析(Failure Mode and Effects Analysis:FMEA)とはリスク管理技術です。

FMEAは、製品や製造プロセスの問題を特定し、ひき起こされる影響を評価し、リスクを低減させる目的で活用されています。

「故障モードの影響度」「発生頻度」「検出難易度」それぞれ1〜10でスコアリング評価し、これを掛け合わせRPNを算出します。

RPNが大きいほど、故障モードの重要度が高いと言えます。

FMEAはさまざまな業種で活用できて、問題を事前に特定できるのが特長です。

製品開発や品質管理の現場で活用されているFMEA。

生産性向上への取り組みの一環として、FMEAを活用してはいかがでしょうか。

生産性向上事例から自社の改善点を見つけよう

生産性を向上するためには、さまざまなアプローチや手法があります。

必要なのは、自社の改善点をみつけ、適切にアプローチすることです

データを活用する、従業員にヒアリングするなどして、工場のボトルネックを見つて一つずつ解決してください。

結果として、生産性が向上するでしょう。

今回お伝えした、2つの事例がヒントになれば幸いです。

業務改善に関するご相談はこちらまで
業務改善は進めたいが何から始めていいかわからない・改善策はないと諦めていませんか?現場に課題感をお持ちの方に向け、組織の改題に応じた改善提案をいたします。お気軽にご相談ください。

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