ケアマネの人材不足が深刻化!介護事業所の現在の状況と今後の対策について解説

ケアマネジャーは、介護事業所にとっても利用者の家族にとっても、大切な存在です。

しかし、2023年現在では、ケアマネジャーの人材不足が問題になっています。

介護事業所の経営者だけでなく、これからケアマネジャーの資格を取得しようと考えている人にとっても、ケアマネジャーの人材不足は大きな問題です。

そこで今回は、ケアマネジャーの人材が不足している原因と対策について解説していきます。

ケアマネの人材不足が深刻化!介護事業所の現在の状況と今後の対策について解説
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目次

主任ケアマネジャーは居宅介護支援事業の責任者

主任ケアマネジャーは、2006年に新設された新しい職種です。

高齢者や障害を持つ人々が自宅で安心して暮らせるよう、必要な介護サービスを提供するプロセスを統括し、居宅介護支援事業の責任者を務めます。

まずは、主任ケアマネジャーとケアマネジャーの役割や業務について解説していきます。

主任ケアマネジャーの必要性

2021年3月から始まった介護保険法で、居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネジャーが務めることが決まりました。

これまでは、ケアマネジャー以外でも居宅介護支援事業所の責任者を務められましたが、新しい介護保険法によって状況が変わります。

主任ケアマネジャーがいない居宅介護支援事業所は、運営ができなくなると問題になり、厚生労働省が2027年3月31日まで猶予期間を設ける審議報告書を出しました。

そのため、居宅介護支援事業所では早急に主任ケアマネジャーを採用しないといけない状況になり、主任ケアマネジャーの人材不足が深刻になっています。

ケアマネジャーの業務内容

一般的に、ケアマネジャーは利用者に合わせたケアプランの作成が主な業務です。

主任ケアマネジャーは、そのケアマネジャー達のマネジメントを担当します。

具体的には、以下のような業務を担当します。

  • ケアマネジャーの指導と育成
  • 作成したケアプランへのアドバイス

上記の業務に加えて、事業所の管理業務も主任ケアマネジャーが務めるので、より一層ケアマネジャーの重要性が増しました。

一般的なケアマネジャーは、居宅介護支援事業所だけでなく、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなどでの需要も増加しています。

ケアマネジャーに必要な資格

ケアマネジャーになるためには、資格を取得しなくてはいけません。

ケアマネジャーの資格を受験するためには、以下の条件のどちらかを満たす必要があります。

  • 特定の国家資格を保有している
  • 一定期間介護施設などで相談援助業務などに従事している

特定の国家資格は、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士含む)、精神保健福祉士などが該当します。

上記の国家資格を保有していない場合は、生活相談員や支援相談員、相談支援専門員や主任相談支援員として、通算5年以上の従事期間があり、900日以上の従事日数があれば受験資格を満たします。

主任ケアマネジャーになるためには、ケアマネジャーとして5年以上の実務経験を積み、さらに所定の研修を70時間受講しなくてはいけません。

そのため、未経験の介護職員から主任ケアマネジャーを育成するためには、10年以上時間がかかってしまいます。

介護業界で起きている深刻なケアマネ人材不足の原因

介護業界におけるケアマネの人材不足には、以下のような原因があります。

  • 資格取得が困難
  • 業務内容と責任問題
  • 資格更新の負担

上記の要因を深掘りすることで、ケアマネの人材不足問題を理解できるようになります。

資格取得が困難

ケアマネになるためには、指定の国家資格を取得するか、相談員として5年以上の従事期間と900日の従事日数が必要になります。

ケアマネの仕事には、介護の基本から始まり、医療知識や福祉制度、ケアプランの作成方法などの知識と経験が必要なためです。

相談員や相談支援員としての業務に従事しても5年以内に離職してしまうとケアマネの資格を受験できないので、ケアマネの人材不足につながっています。

業務内容と責任問題

ケアマネの業務は非常に複雑で、大きな責任がともないます。

個々の利用者の状況や家庭環境を考慮しながら、最適なケアプランを作成する必要があります。

そのためには、利用者の健康状態や生活環境を調査して、家族の状況なども把握しなくてはいけません。

また、利用者や家族からの期待に応えるためには精神的な負担もあり、ストレスが溜まりやすくなるでしょう。

さらに、勤務先によっては業務量と報酬が見合っていない場合があり、離職によるケアマネの人材不足に拍車をかけています。

資格更新の負担

ケアマネは、5年毎に資格の更新が必要です。

資格を更新する際は、所定の研修を受講する必要があり、この資格更新がケアマネの大きな負担になっています。

広島県の例を見てみましょう。

実務経験のあるケアマネが初回の更新を行う際は、以下の費用がかかります。

  • 実務経験6ヵ月以上:34,000円(研修56時間)
  • 実務経験3年以上:24,000円(研修32時間)

2回目以降の更新では、24,000円の更新費用が発生します。

勤務する介護事業所が全額負担してくれる場合もありますが、実費負担になる可能性もあるので、採用時に更新費用の補助があるか確認しておきましょう。

ケアマネの人材不足への対策

介護事業所がケアマネの人材不足を解消するためには、以下の対策が必要です。

  • ケアマネジメントプロセスの緩和
  • ケアマネの処遇改善
  • 更新の見直し

それぞれの対策について、詳しく解説していきます。

ケアマネジメントプロセスの緩和

ケアマネの人材不足を解消するためには、ケアマネジメントプロセスの緩和が必要です。

業務範囲を明確にして必要書類を削減することで、ケアマネは本来の利用者に合わせたケアプランの作成に注力できます。

ケアマネが専門の業務に時間を割けるようになることで負担が減り、新しくケアマネを志す人も増加するでしょう。

ケアマネ本人も、指示を全て受けるのではなく、自分が担当すべき業務とそうでない業務を意識する必要があります。

ケアマネの業務を見直すためには、ケアマネ、介護事業所、行政が連携して対策を取っていくことが重要です。

ケアマネの処遇改善

ケアマネの人材不足を解消するためには、ケアマネが魅力のある職種になる必要があります。

そのためには、処遇を改善し、介護職員にとってケアマネへのステップアップに魅力を感じてもらうことが大切です。

ケアマネは基本的に夜勤がないので、なかには受験資格を満たしていても収入低下を懸念してケアマネの資格を取得しない介護職員もいます。

受験資格を満たした介護職員や相談員がケアマネを目指したいと思える処遇を用意することで、ケアマネの人材不足を対策できます。

更新の見直し

ケアマネが資格を維持するためには、5年に一度の更新が必要になります。

この更新にかかる研修時間と更新費用を見直すことで、ケアマネを目指す介護職員が増加する可能性があります。

現状では、ケアマネの資格を取得しても更新せずに失効してしまったり、維持の難しさからケアマネを目指さずにいる介護職員も少なくありません。

ケアマネの人材不足による介護施設の減少は、国民にとっても国にとっても大きな問題です。

より多くの介護職員がケアマネの資格取得を目指せるように、更新の見直しが求められています。

今後の介護業界と深刻なケアマネの人材不足

介護業界での深刻なケアマネの人材不足を解消するためには、最新技術を導入してDX化を図ったり、介護職員への教育を見直したりする必要があります。

ケアマネの人材不足とDX化、AI化について、解説していきます。

AIはケアマネの人材不足を救えるか

AI技術の進化は、介護業界にも大きな変化をもたらす可能性があります。

AIを活用してケアプランの土台を作ることで、ケアマネの負担軽減につながります。

ケアプラン作成の時間を短縮できると、より多くの利用者のケアプランの作成や管理に集中できるでしょう。

また、AIはデータ分析が得意なので、過去の膨大なデータをもとに利用者のニーズに合わせた最適なケアプランを提案してくれます。

ケアマネは、そのケアプランを利用者に合わせて調整することで、質の良いケアを提供できるでしょう。

AIがケアマネの業務を効率化してくれることで、リソースを再配分してケアマネ不足の解消にもつながる可能性があります。

AIが進化を続けても、人と人との触れ合いが必要な介護業界ではケアマネの仕事がなくなることは考えにくいのが現状です。

ケアマネの人材不足を解消するためには、AIと共に業務効率化を進めながら日々のケアに注力できるような環境構築が必要です。

DX化ツールの積極導入

業務のAI化と同時にDX化も必要です。

DXはデジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術を用いて業務の効率化を図り、生産性を高める重要な施策です。

例えば、利用者の記録や申し送りをタブレットでおこなうことで、ペーパーレス化と時間短縮につながります。

申し送りやケアの状況をデータで共有できるので、ケアマネも入力の手間が省けるでしょう。

また、介護ロボットの導入も進んでいます。

介護の現場は力仕事が多いので、腰を痛めてしまう職員が多いのが問題です。

介護ロボットを導入して介助の補助をしてもらうことで、職員の負担が減り、離職にともなうケアマネの負担軽減につながります。

施設内に見守りシステムを導入することで、利用者の怪我の予防や夜勤帯の職員の負担も少なくなるでしょう。

DX化の導入は、ケアマネだけでなく、介護職員全体の業務効率化につながります。

需要のあるケアマネの資格取得を支援する環境

今後の介護業界では、ケアマネとしてのキャリアを目指す人々への支援強化が必要です。

そのためには、ケアマネになるための教育と研修の質と、アクセシビリティを向上させることが必要です。

オンライン研修や資格取得時の奨学金の提供など、ケアマネになるための教育機会を広げることで、多くの介護職員が資格を取得しやすくなります。

そして、ケアマネとしてのキャリアパスを明確にし、職業への魅力を高めることが必要です。

以下の記事ではケアマネとも関わりの深い訪問看護師の人手不足について解説していますので、こちらも合わせて参考にしてください。

まとめ

2021年の新しい介護保険法の適用によって、介護業界では深刻なケアマネの人材不足になっています。

ケアマネの人材不足には、他にも資格取得が困難、業務内容と責任問題、資格更新の負担などの原因があります。

ケアマネの人材不足を解消するためには、AI化やDX化を推進して業務効率化を図ることや処遇改善、更新の見直しなどが必要です。

ケアマネの仕事に魅力を感じ、より多くの介護職員がケアマネを目指せる環境作りが早急に求められています。

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