看護師の人材不足の原因とは?医療現場の問題点と解決策を紹介

病院やクリニックでは、多くの医師や看護師が、来院する患者の健康を改善するために奮闘しています。

そんな医療現場では、看護師の人材不足が深刻化しているのが現状です。

看護師を十分に確保できずに、運営に支障が出ている事業所も増えてきています。

そこで今回は、看護師の人材不足の原因と医療現場の問題点、その解決策を紹介していきます。

看護師の人材不足の原因とは?医療現場の問題点と解決策を紹介
目次

看護師の人材不足の原因は?

医療現場では、看護師の人材不足が深刻な問題となっています。

看護師の人材不足には、以下のような要因があります。

  • 少子高齢化による看護師のマンパワー不足
  • 看護師の離職と退職が続いている
  • 医療技術の進歩とスキルの隔たり
  • 不規則な交代勤務

これらの要因は相互に影響を及ぼし合い、看護師不足の原因になっています。

少子高齢化による看護師のマンパワー不足

日本では少子高齢化が進むにつれ、高齢者の医療ニーズが増加しています。

しかし、新しい看護師となる若年層の人口は減少する一方で、この少子化が看護師の人材不足の原因となっています。

看護師の需要が増加する一方で従事する看護師が伸び悩んでいる影響で、多くの看護師が業務の過重負担を強いられているのが現状です。

看護師の離職と退職が続いている

看護師の職場は、厳しい環境になっています。

長時間労働や高いストレス、ワークライフバランスの欠如などが増加し、離職や退職を選択する看護師も増えています。

具体的には、病棟での長時間にわたる立ち仕事や重労働、そして患者への心のケアが看護師の体と心に大きな負担をかける原因です。

また、職場内の人間関係の問題もストレスの原因となっており、職場に居づらいと感じた看護師の離職や退職へとつながっています。

医療技術の進歩とスキルの隔たり

医療界の技術は日々進歩していますが、従事する医師や看護師は、常に新しい医療技術を吸収しなくてはいけません。

新しい治療法や機器の操作、専門的な知識の習得に追いつけない看護師が増加し、限界を感じた看護師の離職や退職が続いています。

最新の医療機器の操作に不慣れな看護師は、業務への強い不安を感じてしまいます。

その経験が増えることで、看護師として業務を続けていく自信そのものを喪失してしまうのが問題です。

不規則な交代勤務

不規則な勤務体制は、看護師の生活リズムや健康に深刻な影響を及ぼしています。

夜勤や早朝勤務などの交代制は、睡眠障害や慢性疲労といった健康問題を引き起こしやすいためです。

疲労が取れない状態で業務を続けることで、心身のストレスや疲労が蓄積し、やがて離職や退職へとつながっていきます。

夜勤を続けて行った後に日勤に戻る際の体の不調や、家族や友人との時間の確保が難しくなることは、看護師にとって大きな負担となっています。

医療現場だけでなく、訪問看護業界でも人手不足は深刻化しています。

訪問看護師の現状や人手不足の原因については、こちらの記事を参考にしてください。

看護師の人材不足が医療現場に起こす問題点

看護師の人材不足は、医療現場において多くの問題を引き起こしています。

看護師の人材不足による問題点は、以下の通りです。

  • 医療現場でミスが増加する
  • 看護師の早期離職に繋がる
  • 2025年問題に対応できなくなる

上記の問題は、患者の安全と医療の質に直接的な影響を及ぼすだけでなく、病院全体の経営にも悪影響を与えています。

医療現場でミスが増加する

看護師の人材不足は、繁忙期や救急病棟、高度な医療技術を要求される部門でのミスに直結します。

業務や時間に追われた看護師が、誤った薬の投与をしたり患者のケアミスをしたりすることがあるためです。

具体例として、複数の患者を同時に管理する際の記録ミスや、緊急時の対応遅延があります。

看護師のミスは患者の安全に直接影響を及ぼし、時には命に関わる重大な結果を招くこともあるので問題になっています。

看護師の早期離職に繋がる

看護師不足の影響は、特に新人看護師のキャリアにおいて問題になっています。

過大な業務量と不慣れが引き起こすストレスが、新人看護師の早期離職につながっているためです。

例えば、新人看護師が適切な指導やサポートを受けないまま、患者の処置やケアを担当したとしましょう。

ミスによる患者からの叱責や日々の過大な責任に耐え切れずに、新人看護師がキャリアを早期に断念してしまいます。

新人看護師が早期離職することで、経験豊かな看護師の業務量の増加がさらに深刻化しています。

2025年問題に対応できなくなる

2025年問題は、日本の医療システムにとって大きな問題です。

団塊の世代が全員75歳以上になると予測されており、これにより高齢者の医療ニーズが急増すると予想されているためです。

現在の看護師不足が2025年以降も続くと、高齢者の介護や看護に特化したスキルを持つ看護師の不足が顕在化し、医療サービスの質の低下や適切な医療を受けられない患者の増加が予想されます。

特別なケアが必要になる認知症患者や重度の障害を持つ高齢者の増加は、既に負担の大きい看護師の業務をさらに圧迫することになるでしょう。

政府による看護師の人材不足対策

日本政府は、看護師の人材不足問題に積極的に取り組んでいます。

政府の具体的な取り組みは、以下の通りです。

  • 看護師の復職支援
  • 看護師の離職防止
  • 看護師の養成支援
  • 事業所への財政支援

それぞれの政府の取り組みについて、詳しく解説していきます。

看護師の復職支援

政府は、離職した看護師が職場に戻ることを積極的に支援しています。

具体的には、全国にあるナースセンターとハローワークを連携させることで、就業を希望する看護師と事業所のマッチングを促進しています。

就業を希望する看護師がハローワークに行くことで、専門的な職業相談ができたり、病院の詳細情報を提供してもらえたりできる点がメリットです。

事業所は、ナースセンターやハローワークと連携して説明会や採用活動を行えます。

(引用:厚生労働省「ナースセンター・ハローワーク連携事業の概要」

看護師の離職防止

政府は、看護師が長期にわたって働ける環境を作ることを目指して、事業所に対して職場環境の改善を推奨しています。

具体的には、以下の方針に沿って対策を進めています。

  • 多職種の役割分担・連携、チーム医療の推進
  • 医師事務作業補助者や看護補助者の配置
  • 勤務シフトの工夫、休暇取得の促進
  • 院内保育所・休憩スペース等の整備
  • 短時間正職員制度の導入
  • 子育て中・介護中の者に対する残業の免除
  • 暴力・ハラスメントへの組織的対応
  • 医療スタッフのキャリア形成の支援

上記の取り組みにより、看護師が職場で働きやすい環境を整備し、長期的なキャリアを築くことが可能です。

(引用:厚生労働省「医療従事者の勤務環境改善の促進」

看護師の養成支援

看護学生や看護師を目指す人々への支援も強化されています。

政府が力を入れているのは、以下の項目です。

  • 大卒社会人経験者の養成
  • 教育訓練給付金の拡充

大卒社会人経験者の養成は、看護学以外の大学を卒業した人や社会人として一定の就労経験を経た人の看護師資格取得を支援しています。

特に、経済支援として、以下の項目を用意しています。

  • 奨学金制度の活用
  • 教育訓練給付金(専門実践教育訓練)の活用
  • 学費の減免
  • 学費納入回数の配慮

経済的な負担を軽減するための奨学金や学資援助を提供することで、より多くの人々が看護師としてのキャリアを選べる環境を作ることが目的です。

(引用:厚生労働省「看護師養成所における社会人経験者の受け入れ準備・支援のための指針」)

事業所への財政支援

政府は事業所が看護師を採用しやすくするために、「地域医療介護総合確保基金」を創設しました。

同基金では、看護人材の確保や資質向上を図るための研修制度や就労環境改善などが期待できます。

同基金によって、事業所は看護師の確保と定着に必要な支援を得られるので、結果的に看護師不足の問題に対処が可能となります。

(引用:厚生労働省「地域医療介護総合確保基金」)

事業所による看護師の人材不足対策

看護師の人材不足に対処するため、多くの事業所では以下のような独自の対策を講じています。

  • 看護師の手当てを充実する
  • 看護師の休暇取得の推奨
  • 看護師の育成支援
  • 看護師の多様な働き方を推奨

上記の取り組みにより、看護師の職場満足度の向上や疲労の軽減、スキルの向上や長期的な職場定着を目指しています。

看護師の手当てを充実する

多くの医療機関では看護師の給与体系を見直し、特に夜勤や休日勤務に対する手当てを増やして満足度を高めようとしています。

夜勤手当や休日勤務手当の増額、特別なスキルを持つ看護師への資格手当の設定などです。

具体的には、集中治療室(ICU)や救急部門で勤務する看護師には、その高度な専門知識と技術に応じた追加手当が支給されています。

看護師の手当てを充実させることで、厳しい労働条件の中でもモチベーションを保ちやすくすることを目的としています。

看護師の休暇取得の推奨

看護師の疲労を軽減し、長期的な雇用を促進するためには、休暇取得の推奨が必要です。

取得する休暇には、有給休暇や長期休暇が含まれます。

例えば、年に一度の長期休暇制度を設けることで、看護師はプライベートな時間を確保できるようになります。

旅行に行ったり家族や友人と過ごしたりと、好きなことができるのでリフレッシュできるでしょう。

また、夜勤明けには必ず休日を設けるなど、看護師の健康を考慮した勤務スケジュールの調整も行われています。

看護師の育成支援

新人看護師の育成に力を入れることで、早期離職の防止とスキルの向上が期待できます。

基本的な業務のフォローだけでなく、認定看護師や専門看護師などの支援制度も効果的です。

キャリアップができる環境を構築することで看護師のモチベーション維持と早期離職の抑制につながるでしょう。

さらに、事業所内で定期的な研修やセミナーを用意して、最新の医療知識や技術を習得する機会の提供も効果的です。

これにより、新人看護師は専門的なスキルを身につけ、自信を持って業務に臨めるようになります。

看護師の多様な働き方を推奨

現代の労働環境では、フルタイムだけでなく、パートタイムや時短勤務、リモートワークといった多様な働き方が重視されています。

医療現場でもこの流れを受けて柔軟な勤務体制を提供し、家庭と仕事の両立を求める看護師のサポートを強化する事業所が増加中です。

例えば、子育て中の看護師には時短勤務のオプションが提供されたり、病院外でのテレワークが可能な管理業務が設けられたりして看護師の離職防止に努めています。

多様な働き方を提供することで、看護師が仕事とプライベートのバランスを取りやすくし、長期的に勤務できる環境を提供できます。

潜在看護師の採用も人材不足対策に有効

看護師不足の問題を解決するためには、潜在看護師の採用が重要です。

潜在看護師とは、看護師資格を保有しながら、医療現場から離れている人のことを指します。

  • 潜在看護師向けの研修
  • 現職の看護師の理解
  • 家庭と看護師の両立支援

上記の施策は、潜在看護師がスムーズに医療現場に復帰し、活躍するために重要な要素です。

それぞれの施策について、詳しく解説していきます。

潜在看護師向けの研修

潜在看護師を対象とした研修プログラムの用意は、現場に復帰する際に必要な最新の医療知識や技術、実践スキルを習得するために重要です。

潜在看護師向けの研修では、最新の医療機器の操作方法や新しい治療技術、患者ケアのマニュアルなどを教えます。

また、研修には実際の医療現場でのフォローや実習も含まれているので、潜在看護師が現場の環境に慣れることを補助します。

現職の看護師の理解

潜在看護師の現場復帰を成功させるためには、現職の看護師が役割や能力を理解し、協力的な職場環境を作ることが重要です。

潜在看護師を歓迎し、過去の経験と知識を価値あるものとして受け入れることや、気軽に相談できる空気を作ることも大切です。

潜在看護師も現職の看護師も、担当する業務は同じく患者への処置やケアが中心になります。

優劣を付けることなく協力し合える環境を構築して、お互いの業務をフォローし合うことで、潜在看護師は長期的に勤務しやすくなります。

家庭と看護師の両立支援

女性の潜在看護師に対しては、子育てや家庭の責任と仕事を両立できるような支援を強化することも重要です。

育児休暇の取得や時短勤務制度の導入、事業所内で保育施設の提供などが含まれます。

育児休暇から復帰する看護師に対しては、段階的に業務に復帰できるような勤務時間やシフトを用意して、子育てと仕事のバランスを取りやすくすることが有効です。

潜在看護師が小さな子どもを持つ場合には、施設内に託児所を設けたり、提携保育所の利用を支援したりすることで、職場復帰を促進できます。

上記の施策は、子育てのために医療現場を離れた看護師が、職業と家庭の両立を実現できる最善の方法です。

看護師の人材不足対策としてDXに注目が集まる

看護師の人材不足は、医療業界において深刻な問題です。

この問題に対処するため、多くの事業所ではDX(デジタルトランスフォーメーション)に注目しています。

  • 医療現場とDX
  • 看護師の業務を軽減するDXの事例

上記を解説することで、看護師の人材不足解消にDXが必要な理由が理解できます。

医療現場とDX

医療現場でのDXは、患者のケアを向上させると同時に、看護師の負担を軽減する重要な役割を果たしています。

例えば、電子カルテの導入によって患者の情報がデジタル化され、アクセスや更新が容易になりました。

看護師はカルテを医師や受付に受け渡す必要がなくなり、業務量の削減につながります。

また、看護師が電子カルテで患者の情報を正確に取得できるので、適切な処置やケアができます。

看護師の業務を軽減するDXの事例

DXの具体的な事例としては、アメリカでは以下のようなロボットが導入されています。

  • モクシー(Moxi)
  • リレイ(Relay)

モクシーとリレイは、どちらも医薬品や医療機器を運んでくれるロボットです。

人感センサーが付いているので、人にぶつかることなく物を運んでくれます。

医療機器の運搬は看護師が担当することが多いので、看護師の業務を削減できるでしょう。

また、データ入力や病棟管理のデジタル化も効果的です。

積極的にDX化を推進することで、看護師がより患者と向き合う時間を増やすことを可能にします。

必要な人材を募集しつつ、DXによって看護師の業務を効率化して離職や退職を予防していきましょう。

看護師だけでなく、医療従事者は慢性的な人手不足が深刻化しています。

看護師・医師・介護士などの医療従事者の人手不足の原因や対策については、以下の記事も合わせて参考にしてください。

看護師の人材不足は離職防止対策とDX推進で対応できる

看護師の人材不足は、高齢者の増加と少子化の影響で深刻になっています。

業務量が増加したり、最新の医療技術に対応しきれなかったりといった理由から、離職や退職を選択する看護師も増えているのが問題です。

看護師を確保するために、政府と事業所は働き方改革や潜在看護師の再雇用に力を入れていますが、まだ看護師の人材不足解消には至っていません。

現職の看護師の負担を軽減し、長期的に働きやすい環境を維持するためには、DXによる業務効率化も必要です。

看護師の離職防止対策とDX推進を両立することで、今後増加する高齢者からの需要に備えましょう。

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