医療従事者の人手不足の原因は?医師や看護師が不足する理由と対策を紹介

病院やクリニックなどの医療現場では、医師や看護師などの人手不足が深刻化しています。

医療機関は私たちの生活に欠かせない場所なので、人手不足が続くと健康への不安につながります。

医療現場では、なぜ医師や看護師などが不足しているのでしょうか。

本記事では、医師や看護師などが不足する理由と対策を中心に解説していきます。

医療従事者の人手不足の原因は?医師や看護師が不足する理由と対策を紹介
目次

医療従事者の人手不足の現状

現代の日本では、以下のような医療従事者の人手不足が深刻化しています。

  • 医師
  • 看護師
  • 介護職

医師や看護師、介護職それぞれの現状と対策について、詳しく解説していきます。

医師の人手不足

医師の人手不足は、医療業界において最も深刻な問題です。

特に地方では、必要とされる高い専門性を持つ医師が十分に確保されていません。

日本医師会総合政策研究機構の「医療関連データの国際比較-OECD Health Statistics 2019-」によると、日本の人口1,000 人当たり医師数は 2.4 人で、OECD(経済協力開発機構)加盟国で最下位に近い順位です。

医師の人手不足を解消するためには、医師の労働環境の改善や教育制度の見直しや、医療提供体系の再編成などが必要です。

(引用:日本医師会総合政策研究機構「医療関連データの国際比較-OECD Health Statistics 2019-」

看護師の人手不足

看護師における人手不足もまた、医療現場では深刻な問題です。

看護師の役割は多岐にわたるので、看護師が不足すると医療の質を保てなくなるためです。

厚生労働省が発表した令和5年11月の「一般職業紹介状況(職業安定業務統計 含パート)」によると、全国の有効求人倍率が1.32倍だったのに対して、看護師(保健師と助産師含む)の有効求人倍率は2.11倍でした。

看護師の人手不足は、他の業種の倍近い割合だったことが分かります。

看護師が人手不足に陥る背景には、過酷な労働条件や心身への負担の大きさ、そしてキャリアパスの制限などがあります。

この問題を解消するためには、看護師の労働環境の改善や研修制度の拡充、さらには多様なキャリアパスの提供が必要です。

(引用:厚生労働省「令和5年度 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」

介護職の人手不足

高齢化社会の加速に伴い、介護職の需要は増加の一途を辿っています。

しかし、低賃金や労働環境の厳しさ、キャリアアップの難しさなどが原因で介護職の人手不足は深刻化しています。

厚生労働省が発表した令和5年11月の「一般職業紹介状況(職業安定業務統計 含パート)」によると、全国の有効求人倍率が1.32倍だったのに対して、介護サービス職業従事者の有効求人倍率は4.06倍でした。

医療と密接に関わる介護の現場でも、同じように人手不足問題を抱えています。

(引用:厚生労働省「令和5年度 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」

医療現場で人手不足が続く原因

医療現場で人手不足が続いているのは、以下のような原因があるためです。

  • 厳しい労働環境
  • 医師や看護師などの需要が高騰
  • 医療技術の高度化
  • 離職率と退職率が上昇

それぞれの原因について、詳しく解説していきます。

厳しい労働環境

医師や看護師が直面する厳しい労働環境は、人手不足の大きな原因の一つです。

  • 長時間労働
  • 過酷なシフト制
  • 人命に関わる責任感

上記のような心身へのストレスは、医師や看護師にとって大きな負担です。

医師の中には、人手が足りないために当直して、そのまま不眠で日勤をこなすケースもあります。

上記のような過酷なシフトは、緊急医療や専門的な領域で増加しており、医師や看護師のモチベーション低下や身体の不調にも影響を与えています。

医師や看護師などの需要が高騰

医師や看護師などの専門職は、年々需要が増大しています。

少子高齢化や慢性疾患の増加、そして国民の健康意識の向上は、病院やクリニックの受診回数の増加や治療回数の増加に直結しています。

その結果、医師や看護師の業務量も増加し、多くの医療機関で医療従事者を募集しているのが現状です。

医師や看護師は需要が高いので転職が容易になっています。

医療技術の高度化

医療技術の高度化も、医師や看護師の人手不足の原因です。

新しい技術や治療法を導入する際は、医療従事者に新たな知識とスキルの習得が求められるためです。

医師や看護師の中には、高度化する医療技術に対応しきれずに、仕事へのモチベーションが低下してしまう人もいます。

特に専門性の高い分野では、就職後も継続的な研修や学習が必要になります。

この技術進歩に伴う人材不足に対応するためには、医師や看護師にとって分かりやすい研修の実施や教育が不可欠です。

離職率と退職率が上昇

医師や看護師の離職率と退職率の上昇は、医療現場の人手不足をさらに悪化させています。

労働環境の厳しさや職場内のストレス、キャリアアップの機会不足などが離職の背景にあります。

公益社団法人日本看護協会が実施した「2022年 病院看護・助産実態調査 報告書」では、正規雇用看護職員の離職率は11.6%、既卒採用者の離職率は16.8%でした。

日本では、労働人口が減少して多くの業種で人手不足が起きているので、転職しやすい状況になっていることも離職率の増加につながっています。

(引用:公益社団法人日本看護協会「2022年 病院看護・助産実態調査 報告書」

医療現場の深刻な人手不足への対策

医療現場の深刻な人手不足を解消するためには、以下のような対策が必要です。

  • 給与体系の見直し
  • 労働環境の整備
  • 勤務体系の見直し
  • 研修制度の充実

給与体系の見直し

医師や看護師の給与体系の見直しは、人手不足解消の重要な要素です。

多くの医療従事者が過酷な労働条件にもかかわらず、十分な給与をもらっていないと感じているためです。

適切な給与体系を提供することで、医師や看護師を尊重し、その業務を正当に評価できます。

給与体系を見直すことで、新たな人材の流入と既存人材の定着を促進できるでしょう。

労働環境の整備

医師や看護師の労働環境の整備も急務です。

長時間労働やストレスの多い職場環境、物理的な設備の不足などは離職の原因になるためです。

労働環境の改善には、以下のような項目が含まれます。

  • 適切な休憩時間の確保
  • ストレス管理の支援
  • 職場設備の改善

上記の改善は、医師や看護師の仕事上のストレスを軽減し、長期的なキャリアをサポートすることにつながります。

勤務体系の見直し

医療従事者の勤務体系の見直しも、人手不足の解消に直結します。

現状のシフト制や勤務時間は、若手や子育て中の医療従事者にとって大きな負担となっているためです。

個人の生活に合わせたフレキシブルな勤務体系、パートタイムや時短勤務などの選択肢の提供を検討してみてください。

柔軟な勤務体系を取り入れることで、仕事とプライベートのバランスを改善し、より多くの医師や看護師の長期雇用につながります。

評価制度の改善

医師や看護師の評価制度の改善も、人手不足問題の解消には不可欠です。

現在の評価制度は量的な指標に偏っており、質的な側面や個々の技量を十分に反映していません。

個人のスキルや患者ケアへの貢献、チームワークなどを考慮した公正で透明性のある評価制度を取り入れましょう。

正当な評価を得ることで、医師や看護師のモチベーションを向上できます。

研修制度の充実

研修制度の充実も、医師や看護師のスキル向上と人材不足解消に必要です。

技術の進歩や治療法の変化に対応するためには、継続的な学習とスキルアップが欠かせません。

高度な研修プログラムの提供、キャリアアップを目指す医療従事者への支援は、より専門性の高い医療人材の育成と確保につながります。

時間外に個別に学習するのは困難ですが、業務の一環として研修を導入することで、多くの医師や看護師は新たなスキルや技術の習得ができます。

医療現場の人手不足が変える採用

医療現場の人手不足は、採用にも大きな影響を与えています。

  • 医療従事者の人手不足は人的ミスの原因
  • 看護師の採用が特に難しい理由
  • 看護学生と医療機関のミスマッチを防ぐ方法
  • 医療従事者の採用を増やす方法

採用がどのように変化しているのか、詳しく解説していきます。

医療従事者の人手不足は人的ミスの原因

医療現場における人手不足は、人的ミスの一因となっています。

医師や看護師が過剰なシフトや業務量を強いられることで、疲労や注意力の低下が引き起こされるためです。

その結果、診断や治療での人的ミスにつながりやすくなります。

医療現場での人的ミスは、患者の安全や命に直結するため、非常に深刻な問題です。

看護師の採用が特に難しい理由

看護師の採用が特に難しいのは、担当する業務の多様性と重要性が関係しています。

看護師は、患者ケアの前線で活動するためにさまざまな医療技能が求められるため、高い専門性と人間性が要求されます。

更に、労働条件の厳しさやキャリア展望の制限が、新たな人材の流入を阻んでいるのが現状です。

少子高齢化に伴う看護師の需要は増加していますが、多くの病院やクリニックでは、看護師の数が追いついていません。

看護学生と医療機関のミスマッチを防ぐ方法

看護学生と医療機関のミスマッチを防ぐためには、教育機関と医療機関の連携を強化することが効果的です。

実践的な研修プログラムやインターンシップを通じて看護学生が医療機関の実情を理解し、期待に合ったスキルを身につけられるためです。

また、医療機関は、看護学生の多様なニーズと期待に応えるために職場環境の改善や働き方改革の推進を検討する必要があります。

看護学生と医療機関のミスマッチを防ぐことで、長期的な雇用を維持しやすくなるでしょう。

医療従事者の採用を増やす方法

医療従事者の採用を増やすためには、多方面からのアプローチが必要です。

具体的には、以下のようなアプローチを検討してみましょう。

  • SNSの活用
  • 自社サイトでの採用
  • 海外からの人材の採用
  • 人材コーディネーターの活用
  • 潜在看護師への呼びかけ

上記を活用することで、これまでアプローチできなかった人材へ求人をアピールできます。

特に、潜在看護師はすでに看護スキルと経験を持っている貴重な人材です。

柔軟な勤務体系を提供して潜在看護師を積極的に活用しましょう。

医療現場の人手不足とDX化

人手不足は、医療現場において多くの問題を引き起こしています。

この問題を解決するためには、医療電場のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が急務です。

医療現場にDX化が必要な理由

医師や看護師などの専門職が不足することで、患者へのケアの質が低下する恐れがあります。

同時に、過酷なシフトや業務過多の過重労働が問題となっています。

この医療現場のひっ迫した状況を改善するためには、DX化と呼ばれるITやAIを活用した最新技術の導入が必要です。

医療現場がDXを導入するメリット

DXの導入は、医療現場において多くの改善をもたらすと期待されています。

例えば、電子カルテシステムの導入により、患者情報の管理が効率化されます。

また、AIや機械学習を活用した診断支援システムは、高度な専門知識を必要とする診断プロセスを効率化し、人的ミスのリスクを低減できるでしょう。

チャットによる回答システムを構築することで、患者の小さな疑問や問題の解決も期待できます。

医療現場のDX化の課題

しかし、デジタル化には以下のような課題も存在します。

  • 導入コスト
  • 教育コスト
  • セキュリティ問題

DXの導入には高いコストがかかることや、医療従事者に対する十分な研修が必要であることが導入のハードルを上げています。

また、患者データのセキュリティやプライバシーの問題も懸念されています。

上記の課題を克服するためには、適切な予算配分や教育プログラムの整備、セキュリティ対策の強化が必要です。

DX化によって期待できること

医療現場のDX化は、人手不足の解消だけでなく、医療サービスの質の向上も期待されています。

そのためには、医療機関とサービス技術提供者が密接に連携し、患者中心のシステムを構築することが重要です。

また、医療現場で働く医師や看護師の意見を積極的に取り入れ、実用的で患者に優しいシステムの構築を目指す必要があります。

医療現場の深刻な人手不足は環境見直しと採用強化が課題

医療現場では、医師や看護師などの人材不足が深刻です。

過酷なシフトや業務量の増加、業務に見合わない給与などが主な原因です。

現在の日本では、多くの業種で人手不足に直面しているので、他業種に転職してしまう人もいます。

医療の人手不足を解消するためには、労働環境と給与体系を見直して働きやすい職場を作る必要があります。

同時に、看護学生や外国人労働者、潜在看護師などの活用にも力を入れていきましょう。

医療現場の人手不足を軽減するためには、電子カルテなどのDX化も効果的です。

質の良い医療を提供するために、さまざまな取り組みを実施してみてください。

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